由乃家

そんな店はない。というわけで牛丼の『吉野家』ネタのマリミテ。私はとりあえず二つだけ知ってる。ひとつはリンクさせてもらった TTG、YUKIさんの『よしのや』、もうひとつは〈とらのあな〉で買った同人誌、サークル 夢屋花乃屋、天真楼亮一さんのマンガ『あずマリア様がみてる vol.1』。

天真楼亮一さんのサイト、リンクフリーとのことゆえ、とりあえず引用させていただきます。拝謝。

 TTG http://www7.plala.or.jp/ttg/
 天真楼病院 http://kamakura.cool.ne.jp/tenshinrou/index.html

YUKIさんのは題名が平仮名になっているのを見ても分かるとおり、由乃の壊れをネタにしたもの。『あずまんが大王』とのクロスの『あずマリア様がみてる vol.1』の方は、いまだ牛丼なるものを召されたことのない祥子さまが、祐巳に案内をさせて……という話。

牛丼屋→下世話・庶民的とくれば、通常は祥子さまとリンクさせるというのがやはり王道か。つまり牛丼を「知らない」祥子さまが「知る」までの課程と、あと「知ったあと」のドタバタ喜劇を楽しむ。YUKIさんの『よしのや』だと祥子さま自身は悠然とふるまう。それにしても『よしの』で引っ掛けたのはひょっとしたらYUKIさんのだけかも知れぬ。――こういうの、好きですわ、ホント(笑)

ところで『吉野家』で唐突に連想したのが有名な落語の『目黒のさんま』。世間知らずの大名のトンチンカンをネタにしたこの落語は、扱い方の上品さ(たとえば殿様本人はむしろ雅量ある〈愛すべき人物〉として描写される)で、類似のネタより群を抜いてよいと思う。

この話のおかしさの要所は主に二つある。一つは言うまでもなく「さんまは目黒に限る」という落ちだが、もう一つについて。もともと殿様がさんまに興味を持ったのは、家来が「このような腹ぺこの折には、さんまで茶づりたいものでござるな」というのを聞きつけたからだ。意味をたずねて「空腹のおりから、さんまを菜に茶漬けなど食したい、の意にござります」と説明された殿様は、〈腹ぺこ〉も含めてセリフを丸々覚えこむ。

そして親戚筋の邸で「ご希望のものを何なりと」と家老たちにいわれて「さようか。さすれば腹ぺこの折から、さんまで茶づりたい」と注文する。

注文された家老たちは面食らう。彼らも意味がわからなかったのだ。あげく邸内にお触れを出し「〈腹ぺこの折から、さんまで茶づりたい〉なることを心得る者あらば、ただちに名乗り出よ。恩賞の沙汰に及ばん」とえらい騒ぎになって、下の連中が大笑いした。――というくだりが、もう一つの笑いの要所となっている。

というわけで、私が書くとしたら〈並み盛つゆだく玉入りお新香つき〉――といった感じでよいのか?――てなセリフを祥子さまに覚えさせて、それを使わせるシーンを書くでしょう。

それだけ。つっか、誰か書いてくださってもよろしくってよ。