『1000年女王』第1章〈1000年に一度の桜の季節が……〉

1000年に一度の、
命のときがめぐってくる。
1000年に一度の、
1000年に一度の、
つかの間の春がくる。
「……また桜の季節がきてしまいましたわ」
「1000年に一度くらいのことが、我慢できないのかしら、この子は」
1000年に一度の、
命のときがめぐってくる。
1000年に一度の、
1000年に一度の、
つかの間の春がくる。
「来なくてよかったのに、とさえ思います」
「あなたを総司令(アン・ブゥトン)に任命して全権をゆだねようというのは、いまさらそんな愚痴を言わせるためではなくってよ。分かっているのでしょうね」
「……たとえだまし討ちのように任命された職責でも、逃げはいたしませんわ!」
「それでこそ全ロサメタルの模範たる、私の妹の器量よ。もうためらいは許されない。〈そのとき〉はそこまで来ているのだから」
――もうすぐ、もうすぐ。
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1000年に一度の、
1000年に一度の、
つかの間の――春が、くる。