お題だけ更新、感想:Lythsさん『紅薔薇の伝統(仮)』

あんまりに長い間、何ひとつ、本ページを更新してないので、忸怩たるものを覚えて、999のインデックスメニューだけ更新しました。要するに「こんなの書くかもしれません」予告だけなんですが。

とりあえずこの日記?欄にに書いたのを完結させるなり手直しするなりして、少しアップしなおしたいわ。指輪物語で書いたのはともかく、銀英伝と999はSSリンク登録もしておりませんし。数えると……指輪が二本、銀英伝が未完を含めて二本、999が半分だけ一本ね。

3月ボケと4月バカと五月病に冒されている間に、さすがに世間さまではたくさんいろいろSSが増えていて、マリみてSSリンクを久々にチェックしながら、少しずついただいておりますが、そのうちの一本は近作、Lythsさんの『紅薔薇の伝統(仮)』(フリーでないということなので、リンクは張りません)。

蓉子さまの自室に誘われた祐巳が見たのは〈祥子さまにそっくり〉のネコ。どこが〈そっくり〉かというと――、という部分が少しく書き込まれていて、そのディテールが楽しい。

ただ二三、気になることがあって、そのうちのひとつ。この話のオチは、祥子がやはり〈祐巳にそっくり〉のネコを飼っていて、それが『伝統』という題名のもとになっているのですが、その〈そっくり〉は「タヌキ顔」だというのですね。

でも「タヌキ顔」というのはあくまでも《祐巳自身の視点による自己評価》であって、おそらく平均的にはむしろ祐巳は「タヌキ顔」ではない、普通の美少女である可能性が高い。祐麒花寺学院の同級生や上級生から、恐らく美少年と見られているのと同じように。少なくとも祥子の目に(かつ瞳子の目にも)祐巳が「タヌキ顔」に見えている可能性は低いと思うのです。

この話の楽しさは《視点》による一種の食い違いにあるはずです。どうしても蓉子さまを聖化、特権化して把握しがちな祐巳の見方(冒頭の、部屋の描写とかがそうですね)と、実際には茶目っ気たっぷりなことをやってのけている蓉子さまとの、ある種のギャップですわね。さらには、祥子に対する視線や態度も、祐巳と蓉子さまとでは、重なる部分と同時に、ある種のずれがあるはずです。

ともあれこういった視点問題が絡んでくるSSは、それだけでも〈いかにもマリみてらしい〉話になるような気がします。