視点について

というわけで反省文の続きなんですが、ちなみに『涼宮ハルヒ』については、スニーカー大賞に選出された際の選評に「一人称視点だけど最後まで読ませる」というのがあって、ああそうか、ライトノベルやジュニアノベルって、基本的に非一人称が多いのか、と考える。

ただし、じゃあ〈非一人称〉=〈三人称〉といえるかというと、そうでもなくて、たとえば『グイン・サーガ』とか、さすがに栗本薫はわりと厳密だったと思いますが、通常のジュニア系の人称は、もっと緩やかな、入り乱れた感じではないかと。

ところで『マリみて』は、祐巳なら祐巳由乃なら由乃で、相手の呼称の使い分け――〈さま〉〈さん〉〈ちゃん〉〈呼び捨て〉〈お姉さま〉〈薔薇さま〉――が地の文にまで発生します。これは通常の一人称であれば当然のことですが、『マリみて』の文体は、原則として〈一人称〉ではありません。大変興味深いことです。

とはいえ、むろんご承知のとおり、一方で単行本原作には〈一人称〉作品がいくつかあります。『白き花びら』『紅いカード』『片手だけつないで』なんかがそうですね。

しかしながら、文例としてこの例に倣うのはけっこう難しいように思います。特に対象人物の〈内面描写が重要な場合〉はなおさらに。そう思う理由は二つあります。