2003-11-23から1日間の記事一覧

抑圧、そして〈恋愛〉の開放

全般傾向として、恋愛主題の少女小説の書き手としての側面こそが色濃い氷室が、こういった形で〈恋愛〉を排除して物語を作るというのは、興味深いことです。そのあたりは向き不向き、個人的好悪(もっとも氷室は吉屋の愛読者でもあるようですが)、編集の方…

恋愛の排除 

この〈悲劇〉→〈喜劇〉は、時代の変化にもとづく、ある意味での〈進歩〉といってよいように思います。吉屋の作品が〈悲劇〉で終わらざるを得ないのは、明らかに「女子三従」の家父長的な時代制約の反映ですから。つまり女子校を舞台にした作品が悲劇に加えて…

悲劇から喜劇へ

比較のために吉屋信子*1と氷室冴子*2を引き合いに出して考えてみます。吉屋の作品というのは簡単にいえば『いばらの森』劇中の須加星が書いたような小説、つまり〈悲劇〉です。それに対して氷室は『クララ白書』(1980)、続編の『アグネス白書』(1981-82)にお…

恋愛装置としての〈スール制度〉

ところでその〈スール制度〉の話なんですが、この設定はやはりいろいろと興味深いです。教育の一環として〈お姉さま〉呼称が日常化している空間。まあ読む人間は当然「そのような非日常的な空間が今時、実際にありえようか。いや、ない」と思いながら〈空想…

鳴らない電話、続かない続き(>19日)、そしてスール制度について

先日の続きにならない続き。それに題名に意味がありませんね。恐惶恐惶。mafuneさんの『名を。』の笑いについては、『最良の日?』のSableさん自身が『薔薇道』のBBSに書き込んだコメントがあって*1、劇中で妹達の用いる「〜ッス」といった〈後輩喋り〉を含…