2004-01-01から1年間の記事一覧

ローズ・オブ・ザ・ロザリオ ――第三部―― 『紅薔薇一族の崩壊』 the Collapse of the Crimson

滅びの山、バラド・ドゥア。その中腹にある火の室、サンマス・ナウア。 洞窟の入り口で、傷ついて動けない可南子は何とか身を起こし、彼方を振り仰いだ。 「――――!」 彼方の大きなひび割れ、――すなわち〈滅びの亀裂〉の縁に、祐巳さまは立ちつくしていた。 …

ここまでのあらすじ

冥王サウロン率いる闇の勢力によって飲み込まれつつあった中つ国。そのサウロンの力の源である〈支配の指輪〉を滅ぼすことができる唯一の場所は、モルドールの中核にある滅びの山バラド・ドゥアに存在して、かつてサウロンが指輪を鍛えた火の室、サンマス・…

Lord of the Rings; the Return of the King

明日から正式公開の『王の帰還』を祝頌して。でも終わり方がむごいので、ありがたくも読んでくださる方は、どうか怒らないでください(いつもこんなことばかり言っています(T_T) 配役 フロド 福沢祐巳 サム 細川可南子 スメアゴル(ゴクリ/ゴラム) 松平瞳…

ところで折から、俳優/声優の高木均氏が他界されたとの由。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040212-00000311-yom-soci ネットの片隅から、心より哀悼の意を表します。むかしコバルト文庫で出ていた杉山卓『青春アニメグラフィティ』か『アニメNOW テレビアニメーション全科』のいずれだった忘れましたが、「…

哀悼高木均氏

また日があいた……。地元の999の再放送はとつぜん終わりました。終わりに放送したのが『終わりなき夏の物語(後編)』。しゃれかしら。引越し準備とかでバタバタしてて気がつかなかったのですが、ひょっとして私がいなくなるので打ち切ったのかしらね(誇大妄…

機械化母星になりたい

惑星メーテルでも惑星プロメシュームでも惑星大アンドロメダでも、どれでもよろしい。イゼルローン要塞やガイエスブルク要塞は、表面がきれいなので、ちょっと心引かれる。彗星帝国は却下。どうみても〈母〉じゃないし。落ち着きなく動き回るし。なんですか…

大反省:下田歌子と中島歌子は別人でございます

のっけから大反省。25日の日記のコメント欄に、ご指摘を頂戴しました。樋口一葉のお師匠さんは〈中島〉歌子。下田歌子は全くの別人です……。http://www5a.biglobe.ne.jp/~takeko/mamechishiki.htm#mame10spankyiさま、本当にありがとう。大嘘と思い込みで過ご…

補正

注記1ですが、家慶夫人・楽宮が亡くなったのは1840年ですので、 1837年 家慶、将軍を襲封。楽宮、御台所に。姉小路、楽宮に従って本丸大奥へ。 1840年 楽宮、薨去。 1841年 大御所家斉、薨去。天保の改革始まる。 の順になります。訂正。 ―――――――――――――――――…

見かけだけの〈平等〉

中身については夏一葉さんが要を得たコメントをしてくださって、それに尽きます。よろしければコメント欄をご参照ください。だいたい題名を分かりやすくすれば良かったと今さら反省。で、多少蛇足しますと、大奥女中が倹約令とかに反発するのは、それだけだ…

反省

昨日の〈日記〉は、アップしてから気がついたのですが、何という長さじゃ。われながらアホかと思いました。思いつくことを忘れぬうちにと、大あわてで書いたので、もう少し推敲すれば、ようございました。

表裏一体の〈解放〉と〈追放〉

ここで抑えておく必要があるのは、明治政府が政治における女子の、徹底した排除をもたらしたということです。『ミカドの淑女』の女官たちは、京都の菓子や料理が恋しいといって嘆くのですが、失われたのは甘い菓子、清き水、山紫水明の風景だけではありませ…

〈妖婦〉下田歌子

彼女が〈妖婦〉だとしたら、それはむしろそのような逸脱の可能性においてこそ〈妖婦〉だったというべきです。『平民新聞』における幸徳秋水の弾劾が間違っているとは思いません。思いませんが、秋水が明治の元勲の腐敗を弾劾するとき、その突破口として〈下…

〈教育者〉下田歌子

海老茶袴を身にまとい、優美に「ご機嫌よう」*1と言い交わしながら、和歌や古典の教養を深く身につけた紫式部や清少納言を現代に育成する。――その歌子の教育姿勢は、皇室の藩屏たる華族男子を支える〈良妻賢母〉を教育することこそ肝心である。そのわきまえ…

『ミカドの淑女』下田歌子

ところでここで話がそれるのですが、林真理子『ミカドの淑女』という小説があります。主人公は下田歌子(1854−1936)。樋口一葉の学んだ――実質は小間使い程度の扱いであったともいう古典塾〈萩の舎〉を主宰した人物として一葉の伝記に必ず名前の登場する歌子…

給与生活者としての大奥女中

武士の価値観において、こういった〈禄〉を収入とするあり方のほうが、士農工商の下位である商工業者の〈給与生活〉よりも上位であるという判断があったことは疑いありません。一方で江戸時代、女子で〈禄〉を持った存在はごくわずかでした。五代綱吉の大奥…

武士はサラリーマンか?

武士は〈禄〉=領地をもらって、その代わりに主君に忠義を尽くす。いわゆる〈御恩−奉公〉の関係です。本来は具体的に土地をもらって人民を支配するこの関係は、しかし江戸中期以降のほとんどの武士の場合、幕府や藩などの所属組織を通じて金銭や現物の支給だ…

大奥上臈・姉小路の反発

ほとんど付け足しで徳川後期百七十年ををかっ飛ばす『続・徳川の夫人たち』下巻において、いささか目だって登場する人物の一人に、天保の改革(1841-1843)のころ本丸大奥を掌握していた上臈・姉小路(あねがこうじ)*1がいます。その彼女の有名な話。大奥にも…

お姉さまの権力と栄光の日々、その敗北と挫折

――《1月27日注記》―― 文中、全くの間違いを犯していた部分がありました。 詳しくはコメント欄のspankyiさまのご指摘、追加した注記3、 またhttp://d.hatena.ne.jp/rivegauche/20040127をご参照ください。 到底マリみてサイトの日記とは思えない奇怪な話題ば…

などというマニアクスな話は、さておきまして!!

11月23日から更新してないわ、999……。泣け、喚け、なんということ。「マリア様がわめいてる」に改称しようかしら。

笑うべきか泣くべきか

今月の9日からテレビシリーズ999のレンタルが、始まってるらしい。http://www.toei-video.co.jp/data/hs/vcatalog_dvd/item/200401/drtd06551.html全集らしいのだが、六話収録なので、エイベックスから出た1枚4話収録・全集ボックスをレンタル向けに分割した…

アニメ第一回『波乱の姉妹宣言』

「破談の姉妹宣言」とか「破談おしまい宣言」とか「波乱おしまい宣言」とか変換してしまいたくなりませんか? 獅子舞でもいいけど。シンデレラじゃなくて獅子舞。

それなりに泣ける『大奥』

ドラマ『大奥』の中盤。菅野美穂演じる御台所・篤姫(天璋院)との間に、子供を作ることを望まない家定は「子供をもうけて何になる。政治の道具にされるのは自分一人で十分だ」といいます。「でも人には生きるよすがが必要です」という篤姫に、家定は「狭い…

〈男性失格者〉の将軍・徳川家定

家定将軍というのは一言でいうと〈子供を作る能力がない〉――少なくともそう思われていた、そういう認知が柳営の大名諸侯から江戸の庶民に至るまで浸透していた将軍です。宮尾登美子の歴史小説『天璋院篤姫』では〈病身でセックスの嫌いな、子作りを強いられ…

テレビドラマ『大奥』

その大奥ですが、去年フジテレビ系列で放送された『大奥』。 http://www.fujitv.co.jp/oh-oku/index2.html 正直言うと考証めちゃくちゃだし、演出や台詞回しがくどいので、首をかしげることの方が多かったのですが、いいなと思った数少ないことの一つが、前…

大奥のお局さまと、女子校のお姉さまと

ふつう〈大奥物〉というと、女の嫉妬、憎悪、陰湿なイジメ、足の引っ張りあい、――といったフレーズを誰もが思い浮かべるでしょう。こういった通俗的イメージは、歴史小説、時代劇からポルノに至るまで、18禁とそうでないとを問わず(笑)共通するものですが…

お局さまとお姉さまと将軍さま

いわゆる〈大奥物〉と『徳川の夫人たち』との違いを、もう少し言葉を変えて書いてみます。

嫡庶の別の強化と〈お姉さま〉の消滅

この疑問が『江戸奥女中物語』のおかげで氷解しました。本書によると、六代将軍家宣の死去後――ちょうど18世紀に入ったところ――を境として、それまで曖昧だった将軍正夫人と側室との区別が厳格化する。それまでは正室であるというだけでは、夫が死んでしまえ…

お万の方と右衛門佐だけが何故目立つ?

ところで最近読んだ畑尚子『江戸奥女中物語』(講談社現代新書)によると、本作における吉屋の考証というのはかなり確かだそうですが、それにしても昔から不思議に感じていたことがあって、先述のとおり本書はお万の方だけで半分。続編の上冊は右衛門佐を中…

〈京都=女〉による〈江戸=男〉への抵抗

そのお万の方も右衛門佐も、公家の出身として心情的に朝廷寄りであり、朝廷が幕府の風下に置かれていることに対して〈反発〉しているのですが、肝心なのはそれが必ずしもただの差別意識――無教養、粗野、成り上がりの武家に対する――というわけではない点です…

女子校化した大奥

ところでさすが吉屋というべきですが、この小説における主役女性陣はいずれもみな、いわゆる〈大奥〉っぽい雰囲気がほとんどない。女同士のやり取り、ただし男との関係を主軸にした――を描くというのが〈大奥物〉の常道ですが、本作ではその「男との関係を主…